349人が本棚に入れています
本棚に追加
48 正妃候補パーティー
皇帝陛下は武勲を立てて凱旋され、私は約束通りに正妃候補となることが決まった。
そして、その三日後エドバ城で、私の正妃候補パーティーが盛大に行われる事になったのだ。
私はもちろん、主役ななで、ふわふわっのピンクのドレスを身に纏い、髪を結い上げた。
エドバ城に馬車で着くと、そこにはベルベットの王家の馬車や、シャルナークの王家の馬車、エドババーバ国の貴族の馬車、そして、後宮の姫君たち馬車があり、壮観であった。
こんなにも大勢を招く必要があるのだろうか…?
私は不思議に思いながらも、エドバ城に入った。
庭園とそれに続くホールには、紫の薔薇が一面に飾られていた。
エドババーバの国花と、私の好きな紫をかけて作ったのだろう。
一目でそれがわかった。
そして、群青色の正装に身を包んだ皇帝陛下が現れた。
その美しさに人々は息を呑む。
群青色の正装は彼の瑠璃色の瞳を際立たせていた。
「エティーナ、こちらへ…」
「はい。」
私は一礼して皇帝陛下の一歩後ろに並んだ。
「皆様、今日はお集まりいただき誠に感謝する。
さて、今日お集まりいただいたのは、エティーナ=ローザンドラを正妃候補と正式にする為である。
彼女が正妃候補になるのは、俺が強く望んでいた事でもあり、快諾してくれたエティーナにまずは、感謝したい。」
皇帝陛下は言い、さらに、こう続けた。
「皆さんはもうすでに噂でご存知かもしれないが…
俺はエティーナを、エティーナだけを愛しています。
だから、この場で、後宮を解散する事を発表します…!」
騒めく後宮の姫君達と貴族達。
後宮の姫君はもちろんだが、自分の娘を後宮に嫁がせている貴族や王族もこれには衝撃だった。
もちろん、私も驚いていた。
「静かに…!
静かに!
後宮は解散するが、その後の姫君達への保証は万全を期す。
実家があるものは、実家へ戻る方向で検討し、実家が無い者についてはしかるべき馬車に話をつける。
なお、その後の姫君達の縁談の勧めを徹底する所存だ。
さらに、十分な慰謝料を払う。
勝手な判断だとは承知している。
だがな、姫君達よ。
俺の心はもうエティーナにしか無いのだ。
彼女を正妃にし、俺は彼女と共に人生を歩みたい。
どうか、わかってくれ…
1、2発くらいならば、平手打ちも覚悟の上だ。
思う存分俺を引っ叩いて帰っていくが良い。」
皇帝陛下はそう言って頭を深く下げた。
私も皇帝陛下に倣い頭を下げる。
すると、ダイヤモンドの後宮の姫、サラ様が前に出てきた。
「陛下、1発、姫君を代表して殴らせていただきますわ!」
「あぁ、良い。」
サラ様は大きく陛下を引っ叩いた。
「姫君達よ。
これで、心を収めて下さいませ。
残念ですが、陛下のお心はもう私たちにはありません。
後宮にしがみついていたとて、不憫なだけ。
ならば、私たちを存分に愛してくれる人を探しましょう?
ありがとう、陛下。
素敵な日々を過ごさせていただきましたわ。
どうぞ、お幸せに。」
サラ様は言い、そして、姫君達は次から次へとエドバ城から出て行き始めた。
エドバ城の中には、私と陛下だけが残った。
「良かったのですか…?」
「あぁ…
俺はそなた以外は考えられぬしな。
これで良いのよ。」
最初のコメントを投稿しよう!