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50 バルド城
その後、後宮が取り壊される事になり、私はマリア、レイ、アールを連れてエドバ城に移り住む事になった。
もちろん、というか、陛下の部屋とは別室であり、相変わらず私たちはお互いの部屋を行ったりきたりしていた。
そんな中、私としては軍師姫の仕事も疎かには出来ない。
その日、エドババーバ国のバルドの街のバルド侯爵からの依頼があり、私は単身バルドの街に出かけた。
「バルド侯爵様、お初にお目にかかります。
エティーナ、と申しますわ。」
「これは、これは、エティーナ様、このような遠方の地へようこそお越しくださいました!
私はバルド侯爵家の主人でございます!」
「はい。
して、私に頼みたい事とは一体?」
「はい、それが…
ここバルドの地は隣国に面しておりまして様々な戦闘の舞台となるのです。
ですから、軍師姫様も見てお分かりの通り、城の城壁は剥がれ、堀は崩れ、城はチャカンチャカンでございます。
しかし、これから先も軍が攻め入って来る事を考えれば、この城の状態ではまずいと考えるのです。
どうか、軍師姫様のお力で、我が城を救っていただけませんか…?」
「ふーむ。
要するに、城の修復をしてほしい、とこう言う事ですね?」
「御意。
あと、一回攻めいられれば城は跡形もなく崩れ去る事でしょう。
どうか、バルド城を助けてください!」
バルド侯爵は言う。
「分かりました!
と、言いたいところですが…
実は今後宮の姫君達への慰謝料で財政が圧迫しているのです。
とても、バルド城へ回すお金は…」
私は言う。
「そんな!?
しかし、このバルドは敵軍を足止めする第一の要でございますよ!?
ここが落とされれば困るのは、他の街でございましょう!?」
バルド侯爵は言った。
それも、最もな論である。
エドババーバ国の他の街が比較的無事なのは、バルドの城砦によるところが大きいのだ。
「それはごもっともにございます。
分かりました。
なんとか財源を当てられないか、皇帝陛下に相談致しますゆえ。」
「おぉ…!
誠ですか!?
それはありがたい!
何卒宜しくお願いします!」
私は頭を抱えつつもバルドの街を後にした。
帰ると、ちょうど皇帝陛下と廊下で会った。
「陛下、財政は…」
「あぁ、その事か!
姫君達の慰謝料がかさんでなぁ!
ヒィヒィ言っておるよ!
まさに、財政は火の車だ!」
私はとてもバルド城の補修の金が欲しいなどと、いう事はできなかった…
これは、困った。
さて、どうしようか?
ルードラの街の金山・銀山の金も慰謝料に当てているだろうし…
となれば…
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