6 ルードラの復興

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6 ルードラの復興

私は次の日からルードラの街の地図と睨めっこしていた。 ルードラは土が痩せていて農業にも不向きで、目立った特産品も無い。 アールがルードラの出身という事で、私は彼女に内情を尋ねた。 「ルードラは… それはそれは貧しい地方にございます。 どのように貧しいかというと、みな痩せ細り、ろくに食べれず、疫病が発生し、汚水を飲んでおります。 1番の原因は土が痩せ細っているという事で、改善の余地はございません。 それに、鉱山が採れなくなり、年々過疎化が進んでおり… とにかくあんな街を立て直すなどとは、無茶も無茶でございます!!!」 アールは言う。 「その無茶を何とかするのが、私の役目なのよ。 安心して頂戴。 策はあるわ。」 「えぇ? 一体どのような策でございますか!?」 「土地が痩せているのは、土魔導師を雇えば解決する話よ。 それに加えて植物魔導師も必要ね。 とにかく特産品を作らなければ…」 私がそう言うと、マリアが不思議そうな顔でこう言った。 「しかし…エティーナ様… 土魔導師も植物魔導師も、各国がこぞって手に入れたたがる人気の魔導師ですわ。 ルードラの給料では、集まりませんことよ?」 マリアの意見ももっともである。 土魔導師は畑や土壌をふくよかにする、と言い、どの国からも高待遇により扱われている。 ルードラがまともに募集したところで、ろくな人材は集まらないだろう。 植物魔導師も土魔導師ほどでは無いが重宝されているのだ。 「鳴かぬなら…鳴いてみようよ、ホトトギス、よ!」 「は? ホトトギス、でございますか…?」 ポカンとする、マリア、レイ、アールに私はニッコリと微笑んだ。 それから、私はルードラに出向いて、ある仕掛けを仕込んだ。 そして、その日皇帝陛下の遣いにより、本城に呼び出された私は琥珀色のドレスに身を包み、エドバ城に出向いた。 皇帝陛下の間にて、イグナードという宰相は鋭く眼を光らせて私を見た。 「さて、エティーナよ。 どのようにルードラの街を立て直すか、策を教えてくれぬか?」 皇帝陛下が言う。 「はい… ルードラの市民はまさに困窮しております。 従って、市街中心地にて、10日間粥を振る舞う事に致しました。」 「はっはっはっはっ! それはそれは心優しき事だ! しかし、10日間粥を振る舞ったからと言って、市民を真に救う事はできませんぞ!? やはり、ただのご令嬢上がりか。」 イグナードという宰相が言う。 「まぁ、待て、イグナード。 エティーナ、それがそなたの策か?」 「そんなはずがございませんわ。 10日間粥を振る舞ったからと言って民が救われないのは百も承知です。 これは、民を救うためではなく、一揆の気運を下げるための手法なのです。」 私は言った。 少しばかりイグナードの顔色が変わったようだ。 「では、そなたのルードラを立て直す策とは? 一体何なのだ?」 「今朝、ルードラを収める侯爵家より電報が届きました。 ()()()()()()()()と。」 「そのような!? バカな事があるものか!? あそこの鉱山はもう何も出ないはずだ!!!」 イグナードが青筋を立てて言う。 「一体どうやったのだ?」 皇帝陛下。 「人の心理とは真に不思議なものにございます。 私はただ、あの鉱山にはたんまりと金が眠っている、とそう人伝に噂話を流しただけにございます。 噂は広まり、何百もの鉱山労働者が集まりました。 そして、噂は誠になったのです。 そもそも、あの地方には金が少量出ていました。 しかし、それを諦めたのです。 私がやったのは、噂を流した、ただそれだけでございます。 しかし、これで、土魔導師も植物魔導師も雇える財源が手に入りました。 もう、ルードラの街が困窮することは無いでしょう。」 私は一礼してそう締め括った。 「どうだ? イグナード?」 「…お見それ致しました! 軍師姫、お見事!!!」 こうして、私は軍師姫として名を馳せ始め、外出許可証を手に入れたのだった。
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