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寝台から起き上がって、大きく伸びをする。
隣を見れば、そこにはすやすやと寝息を立てて眠る一人の男性。栗色の短い髪が特徴的な彼の寝顔は年齢よりも幾分幼い。
こうしていると、彼のほうが年上なのに、私のほうがお姉さんになった気分。……なんて、彼に伝えることは出来ないけれど。
寝台から抜け出して、少しだけカーテンを開ける。
差し込んでくる眩しい朝日。小鳥のさえずり。まさに、理想的な朝。
「……ふわぁ」
眠気を取り除くために朝日を浴びていれば、寝台のほうから音がする。
そっとそちらに視線を向ければ、彼が起きている。
「……おはよう、ペネロペ」
「……はい、おはようございます」
彼の挨拶に挨拶を返して、私はこくんと首を縦に振る。
先ほどまで閉じられていた彼の紫色の目が、今は私を見つめている。憎たらしいほどに美しい。その目に、本来ならば私は映らなかったはずなのに。
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