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「ねぇ、顔合わせのとき、ペネロペは――」
「――いかないよ」
さも当然のようにかけられた言葉。私は手に持っていた本をぱたんと閉じて、異母姉を見つめる。
「だって、私はいないほうがいいでしょう? 私は所詮、この家のお邪魔虫だから」
「……ペネロペ、そんなの」
「お義姉さまだって、わかってるんじゃない。……私とお義姉さまの間に血のつながりは半分しかない。そして、私の血の半分は卑しい平民の血なんだって」
……意地の悪い言葉だったんだろう。
そのときの異母姉の傷ついたような顔が、私は忘れられない。
「そういうことだから。私は部屋に引っ込んでいるわ。三人で楽しんで頂戴」
九歳にしては大人びた口調でそう吐き捨てて、私は邸宅の中に戻っていく。
このときの異母姉は、苦しそうな表情をしていた……んだろう。それは、容易に思い浮かんだ。
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