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「はい!OKでーす!お疲れ様でした!」
撮影スタッフの、終了を告げる声がスタジオに響き渡る。
私はカメラ目線にポーズを決めていた手を下ろし、「ふぅ・・・」と息を吐いた。
「美鈴ちゃん!お疲れ~」とマネージャーさんが私を労ってくる。
「お疲れ~」
「いや~、美鈴ちゃん、本当に良い表情するね。この写真なんか最高だよ!」
「ふふっ・・・ありがとう!」
私は少し照れながら、マネージャーさんにお礼を言った。
「じゃあ、美鈴ちゃん。今回はこれで終わりだから、今後のスケジュールはまた連絡するね~」
「うん!了解!」
私は元気よく返事をして笑顔を見せた。
そして、更衣室で私服に着替えた後、そのまま撮影スタジオを後にする。
「ふぅ・・・今日の撮影も長かったわね・・・」
私は長丁場の撮影に疲労を感じながらも、満足感が身体を満たしていた。
なぜなら、今日の撮影は完璧だった。
先ほど撮られた写真を自分でも見たのだが惚れ惚れするほど良かった。
これで私の人気はさらに上がることは間違いない。
帰りのタクシーの中で私は「ふふっ・・・」と人知れず笑みを浮かべるのだった。
私、『神楽美鈴(かぐらみすず)』は高校2年の女子高生であり、ファッションモデルをしている。
自分で言うのもあれだが、私は容姿と才能に恵まれていた。
日本人離れした美貌と、身長。その容姿に劣らないほどの美しいプロポーション。
まさに、天から二物も三物も与えられた人間だった。
そんな私は、この業界でトップクラスの人気を誇っており、雑誌やテレビCMなどに多数出演している。
また、私は自分の恵まれた容姿と才能に驕ることなく努力を怠らず、常に上を目指して頑張っていた。
その結果、今ではモデル界では知らない人がいない程の有名人となっている。
そんな順風満帆な私だったが、悩みがもちろんないわけではない。
その一つが高校での学校生活。そして、もう一つがここ最近私の身に起こっている不思議な現象だった・・・。
30階建てのタワーマンションのエレベーターを使い、最上階にある自宅へと私は戻った。
夕食はもうスタジオで頂いてきたから、今日後はシャワーを浴びて寝るだけだ。
シャワーを浴びた後、私は部屋に戻りパジャマに着替えてベッドの上に座り込んだ。
「あぁ~、明日は学校行っとかないとねぇ・・・」
そう言いながら私はベッドの上でゴロゴロする。
モデル活動が多忙な時期だと学校を休まざるを得ない時がどうしても出てくる。
最近は特に忙しかったから、ここ数日は学校に行けてなかった。成績は問題ないのだが、出席日数が足りない問題が出てくる。
まだ、単位を落とすまではいっていないが、油断は出来ない。
いくらモデルをやっているからと言っても、イメージの問題があるから、高校はやっぱり卒業しておきたかった。
「・・・さて、もう、寝ようかな」
部屋の明かりを消した。そして、そのまま布団に潜り込むと目を閉じる。
「今日もあの変な夢また見るのかな~・・・」
そんな呟きと共に私は眠りに落ちていくのだった・・・
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