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(1週間前・・・)
キーンコーンカーンコーン!
学校のチャイムが鳴り、午前の授業が終わった。
今日はモデルの活動はなく、一日女子高生としての務めを果たす予定だ。
私が通っている高校は一応進学校であり、偏差値だけは無駄に高い高校である。
かつては中高一貫の女子校だったのだが、少子化の影響もあり近年共学として門戸を開いたという経緯がある。
その為、今もその影響を色濃く残しており、学内の男女比率は3:7で圧倒的に女子の比率が多かった。
そんなもんだから、私の高校では必然的に女子が男子を取り合う形になり、
恋愛争奪戦においてプライオリティのトップに立っている私はいつの間にか他の女子に妬みや恨みを買う格好になってしまう。
私がモデル活動で忙しく、学業という意味では落ちこぼれであるのも彼女たちの陰口に拍車がかかっていた。
今日も、トイレで用を足していた時のこと・・・
「ねぇ見た?・・・あいつまた雑誌の表紙に載っているよ。ほら今回はこれ・・・」
「うわぁ・・・ぶっさいくな顔・・・何?このドヤ顔・・・」
「ほんと、モデルだかなんだか知らないけど、調子に乗ってるわよね~」
「ほんと、男子も見る目ないよねぇ~・・・あんな落ちこぼれが人気モデルだなんて・・・」
「ほんと、ほんと・・・」
そんな陰口が私の耳に聞こえてきた。
女子たちの妬みや恨みも私からすればどうってことなかった。むしろ優越感に浸っていたくらいである。
なぜなら、私にはモデルという確固たる地位があるし、それにこの美貌があれば大抵の事は許されるからだ。
しかし、やはり気分のいいものではない。
いつの間にか私の私物に落書きがされていたり、物をパクられたりなど嫌がらせを受けるのなんて日常茶飯事だ。
酷い時なんか画びょうを椅子の上に置かれていたこともある。
「はぁ・・・面倒くさ・・・」と私はため息を付きながら、自分の席に戻る。
そして、食堂でお昼を済ませようと、私が席を立った時だった。
「美鈴ぅ~お昼行こう?」と私に声を掛けてきた子がいた。
彼女の名前は『桐生遥香(きりゅうはるか)』。
私の親友であり、同じ事務所に所属しているモデル仲間でもある。高校生活を送る中で、お互いの悩みを打ち明けられる無二の存在と言ってもよい。
私はニッコリと微笑むと二つ返事で了承した。
「うん。行こう!」
私たちは教室を出て、食堂へと足を運んだ。
私達は学校で2人並んで歩くだけでも人の視線を集めてしまう。
私は身長180cm。そして、遥香は私より少し背は低いものの175cmと女子では十分高身長。
そして、そのスタイルはハリウッド女優の様な凹凸のハッキリとしたボディラインが特徴だった。
それに加え、彼女の特徴は何と言ってもその目である。パッチリとした二重に透き通るような白い肌と切れ長の目元から放たれる色気のある視線は男女問わず魅了する。
「美鈴?どうしたの?」
そんな遥香をボーッと眺めていたら、彼女が不思議そうに私に声を掛けてきた。
私はハッと我に帰ると、慌てて言葉を濁した。
「ううん。なんでもないよ!ただちょっとまた陰口言われて面倒くさいな~と思ってただけよ」
と咄嗟に話を誤魔化そうと先程のトイレで起きた出来事を話してしまう。
そして、それを聞いた遥香は怒りの声を上げる。
「はぁ!?ほんと、何なのそいつら!?美鈴に嫉妬しているだけでしょ!そんな奴らの言う事気にする必要ないよ!」
「美鈴が超美人なのは私がよく知っているから!!」
「うん、ありがと!遥香」
遥香は私に対してとても過保護な面があり、私が何か言われるたびにこうして怒ってくれるのだ。
そんな遥香に私はいつも助けられている。だから、私も彼女の為なら何でもしてあげたいと思うし、力になりたいと思っている。
そして・・・それは彼女も同じ気持ちだと私は信じていた・・・。
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