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「わかったよ。そこまで言うなら、僕に考えがある」
「ん? なんだい、ボク」
「プレゼントちょうだい」
「えっ? プ、プレゼント?」
おじさんの声が、明らかに動揺した人のそれに変わった。
「おじさんは、ほぼサンタなんでしょ? だったら当然プレゼントぐらい用意してるよね? だから、はい。プレゼントくれたら、今回は通報しないでおいてあげるよ」
おじさんの顔に絶望がにじむ。僕は心を鬼にしておじさんの答えを待った。
「…………………………………………………………………………………………………………………………ああ、もちろんいいとも」
「いやいや、もう諦めなよ見てるこっちが辛いから。だって超困ってんじゃん。こんな長過ぎる3点リーダー見たことないよ。もはや何点リーダー? って感じだよ」
「別に? 全然困ってないけど? プレゼントでしょ、あるある。あるから。今出すからちょっと待ってて。…………あれ、どこやったかな」
そう言って、おじさんは背負っている袋ではなく服のポケットをまさぐりだした。
全問題ヤマ勘で埋めたテストの答案を見直すかのような涙ぐましい努力に、なんだか無性に切ない気持ちが込み上げる。
しばらくすると、おじさんは嬉々として顔を上げた。
「あっ! あったあった! 良かったぁ! ほらボク、これがおじさんからのクリスマスプレゼントだよ!」
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