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「なんだい? ボウヤ」
「おじさんがしようとしたことは確かに悪いことだけど、でも、実際に何か取られたわけじゃありません。それにおじさん本人もきっと反省してると思います。だから許してあげてください! お願いします……!」
「……」
お巡りさんは困ったように頭をかいている。すると、おじさんが口を開いた。
「ボクは優しいね……ありがとう。でも、罪はちゃんと償うよ」
「僕知ってるよ! おじさんは、本当は悪い人じゃないって! 今回は少し悪さしちゃったけど、マクロ的に見たらほぼほぼ良い人だって、僕知ってるから! ≒良い人だから!」
「ボク……」
「クリスマスまでに罪を償って戻っておいでよ! そしたらきっと、本物のサンタがおじさんの欲しい物、届けてくれるから! もう盗みなんかしなくても大丈夫だから!」
おじさんが乗せられたパトカーを泣きながら見送る。そんな僕の頭を、パパは優しく撫でてくれた。
「サンタさん。今年は僕の分はいいので、おじさんに、おじさんの欲しい物を届けてあげてください」
まだ真っ暗な秋の空を見上げ、祈りを込める。
すると返事のような流れ星が一つ、地平線の向こうへ瞬きながら駆けて行った。
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