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ドスン、という鈍い物音のせいで目が覚めた。眠い目をこすりつつ枕元の時計に目をやると、薄暗闇の中、全部の針がちょうど真上を指しているのが見えた。
12時? それとも、0時って言うんだっけ?
そのへんの言葉の違いはまだよくわからない。わかるのは、子供の僕は寝ているべき時間だということだけ。
だけど、好奇心旺盛な僕の頭はさっきの物音の正体が気になって仕方ないみたい。
僕は隣の部屋のママたちを起こさないよう、慎重にベッドから抜け出す。
もう小学生だから、とこの春にもらったばかりの一人部屋のドアを抜け、音がした方向を目指す。たぶんリビングの方からだったと思う。
真っ暗な廊下を壁伝いに歩き、目的のリビングにたどり着いた。手探りで電気のスイッチを入れ、明るくなった部屋の中をぐるりと見渡す。
けれど、特におかしなことは見当たらない。
リビングじゃなかったのかな? それとも、さっきの音自体が気のせい?
……なぁんだ。何も無いとわかったら、急に眠くなってきた。
大きな欠伸を一つし、再び部屋の電気を消そうとした、その時だった。
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