あわてんぼうのほぼサンタクロース

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「あっぶねぇぇぇ、落ちた衝撃で気失ってたわ。一瞬天国見えたわ。てか、煙突の中ってなんであんなにツルツル滑るわけ? あー、超頭痛い……」  突然、知らないしゃがれ声がした。  慌てて声が聞こえた方向——部屋の奥にある暖炉を見ると、中から黒くて丸い物体が飛び出し、左右にフリフリと揺れている。  あれは……人のお尻?  お尻は後ろ向きのままゆっくりと暖炉からはい出てきた。続いて手。何か袋のような物をずりずりと引きずっている。最後に、頭。帽子を被った後頭部からでも、彼の気だるげな雰囲気が伝わってくる。 「ふぅ。ったく、酷い目に遭ったよ。さっさと用を済ませてずらかり……」  彼が急に振り返り、その瞬間、目が合ってしまった。お互い石のように硬直したまま、僕はその姿をまじまじと観察した。  帽子に口ひげ、背中に袋を背負ったその姿は、どこからどう見てもアレだ。 「あのー、おじさん、もしかして……」  僕の言葉をさえぎるように、彼は口を開いた。
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