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「やあ! 私は良い子の味方サンタクロースだよ! こんな時間に起きてる悪い子は、一体どこの誰かなぁ?」
「……」
自らをサンタクロースと名乗るおじさんの姿に、僕は口をあんぐり開けて固まった。
嘘でしょ? そんなことって……。
僕が黙って立ち尽くしていると、彼はノソノソと目の前までやってきて、ピタと立ち止まった。暖炉を背に、まっすぐ僕を見下ろしてくる。
深いしわに包まれた目と見つめ合うこと数秒。再び緩やかな速度で動き出した彼は僕の肩に優しく手を置いて、そして、とろけそうなほど柔らかな声で、こう言ったんだ。
「メリークリスマス!」
「あの……今まだ9月なんだけど」
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