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「そうだっけ? 別にズレてないと思うけど。確かベートーベンの飼育方法についての話だったよね?」
「おじさんがほぼサンタかどうかについてだよ! 全然違うよ!」
「あれ、そうだっけ? ごめんごめん、でもそれだってマクロな視点で見たら同じようなものだよ。『モーツァルト』と『モツ有るよ』ぐらい些細な違いだよ」
「マクロが過ぎる! もはやただの暴論だよ! てか、さっきからのその変なやつは何なの!? 偉大な音楽家に変なセリフを取り合わせるのやめて!」
気持ち良いぐらい露骨な論点ズラシに、真面目な僕はいちいちつっこんでしまう。これではおじさんの思う壺だ。
「変だなんて酷いぞボク! ほら、モーツァルトの有名な肖像画を思い浮かべてみてよ。なんかモツを常に持ち歩いてそうな雰囲気が……」
「モーツァルトは『モツ有るよ』なんて絶対言わないから! そもそもそんなセリフ言う機会が無いわ!
というか、ほんともうふざけるのも大概にして! 論点ズラシばっかりして、そんなので騙されるのはガキだけだよ!」
「いや、ボク見た感じ小学校低学年ぐらいじゃん。俺が言うのもなんだけどそれはおかしいよ……」
どこまで行っても話は平行線。頑なに自分はほぼサンタだという主張を曲げないおじさんに、僕は最後の切り札を叩きつける。
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