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「パパ、ママ!見て、この本。『結奈』を見つけたの!」
結奈は古本屋で見つけた1冊の本を両親に手渡した。
そこには結奈に転生したユーナが元居た世界のその後の話が描かれていた。
「『結奈』は私の身体で元気に暮らしているようよ。なんと伯爵家のお茶会でそこのご子息に見初められて婚約したのですって。『結奈』はいつかまたパパとママに会えるように、頑張って生きているみたい。パパとママに会えなくても、ふたりの事が大好きだよって書かれている。私も結奈の身体で……結奈として頑張るから、その間はパパとママの娘でいさせてください」
両親はその本を読み、驚いたがすぐに笑顔になった。
「あぁ、『結奈』も『ユーナ』も私達の大切な娘だよ」
そう言って両親は結奈の身体を抱きしめた。
新作『愛を知らない私が異世界で沢山の愛に包まれました<2>』を読み、私の胸に暖かいものが灯った。
「パパ、ママ。私がどこに居たって愛してくれるのね、ありがとう」
私がレイティ・ジョナルドに追加をお願いした文章は、『向こうの世界の結奈が古本屋で1冊の本を見つける』というエピソードのみだ。
その後の文章は、レイティが夢で見た内容をそのまま記したものだ。
きっと届いた、私の想いが両親に。
届いたよ、両親の想いが私に。
私は涙を拭い、本をトランクケースに仕舞った。
「お嬢様、お迎えの馬車が到着しましたよ」エレナが扉から顔を出す。
パパとママに私の花嫁衣裳を見せられなくて残念だけど……
「公爵家に嫁いでも、私はパパとママの娘です」
そう微笑んで、私は荷物と共に馬車に乗り込んだ。
(おしまい)
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