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生まれてこのかた、父が花を愛でているところなど見たことがない。青天の霹靂とまではいかないが、なぜ急にバラを育てようという心境になったのか父の心が僕には読めない。
「父さん、昼どうする?」
花に夢中で気づかないかと思ったが、意外にもレスポンスはすぐにあった。
「ラーメン」
またかよ。こちらに背中を向けている父の答えはいつも通りで、流石に僕も嘆息した。
袋入りのインスタントラーメン。野菜を足すわけでもなく、何の捻りも入れず。目を離せば父の主食はこれになる。
食に執着がないというのか、そもそもの興味がないのか。これといった好き嫌いがないのはいいことだが自分の身体に入るものに何のこだわりもないというのはいかがなものか。
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