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こんな人に育てられた僕が台所に立つようになったのは反面教師という面で、ごく自然な流れだったような気がする。
卵焼きから始まって野菜炒めに丼もの、中学生くらいになると魚も捌けるようになった。
高校の時に始めた飲食店のバイトは性に合っていて、ホールで入った筈が最後はキッチンのバイトリーダーを任されるようになった。
それでなんとなく、自分の将来の進路を見出して、『食』の提供が今の僕の仕事になっている。
何かにつけて質より量を重視しがちな父に素早く作れて野菜もとれる物をと冷蔵庫を開けると呆れるほどすっからかんだった。
かろうじて、野菜室にあったのはキャベツ半玉だけで、しかも持ってきたのは僕だから力が抜ける。
期待せずに冷凍庫を開けると肉も魚もない。かわりにバニラアイスバーの箱が入っていた。
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