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もう若くないのだから少しは自分の食事のいい加減さに危惧を覚えて然るべきだと思う。
こと、健康に対しては意識を向けて欲しい。
結局、あり合わせの物で即席のお好み焼きを作った僕が食器棚から平皿を取り出す頃に父がようやく帰還した。
席について「いただきます」と手を合わせた後、父の口から出た言葉に思わず眉根を寄せた。
「千歳、もう明日からうちに来んでいい」
「は?」
「お前にはお前の新しい生活があるんだから」
「……」
6 歳の時、母が死んだ。台所はいつしか僕の聖域になって、小学4年生になると味噌汁が上手に作れるようになった。
それをうまいと言って、仕事から帰って来た父が食べた。その一言が聞きたくて料理に夢中になった。
飲食関係の進路を志し、今働いているイタリア料理の店で明日花と出会った。
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