花の話

何を思ったか知らないが父が花を買ってきた。
パステルイエローの蕾をつけたミニバラの鉢。
僕が訪れた時、父はその花を大事そうに軽トラの荷台から下ろしているところだった。
ダイニングテーブルにはホームセンターのレシートと父の財布、軽トラの鍵が置かれている。
怪訝な眼差しを向ける僕に構わず、父は庭へミニバラを運び、土にさしてあるバラの育て方を熟読し始めた。
口笛のようなさえずりで我が家の文鳥達が背中を向ける父をからかう。ピーコとピー太郎。ちなみにどちらもメスである。
ここまで来る途中に買ってきたミネラルウォーターのペットボトルに口をつけ、さてと僕は腕まくりをした。