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12.新しい門出(ベアトリクスside)
私の新たな婚約者は、セルジューク辺境伯家の子息に決まりました。
鉱山で潤っている辺境伯家らしく、姉が「あそこは中々のやり手だわ」と言ってました。
王家主導で政略結婚が決められていたので、相手を決めるのも難航するかと思っていたらあっさり決まったことも驚きです。
「ベアトリクス、おめでとう」
「ありがとうございます、お姉様」
「セルジューク辺境伯の息子は、あの双子と違って誠実で勤勉だから安心してちょうだい」
お姉様、もしかしてこの婚約に一枚噛んでますか?
それは王家にとって有益なのか、それともランドルト侯爵家にとって有益なのか。
いえ、深く追及するのはやめましょう。
藪を突いて蛇を……、ということもあるかもしれませんから。
「……でも、本当によろしいのでしょうか?私が嫁いでしまって」
「ええ、大丈夫よ。我が家にはまだカタリーナがいるし。もし、カタリーナが嫁いでも問題ないわ。私達三人の子供のうち、誰かが跡取りになれば良いだけのことよ」
「そうですか」
姉の場合、王家が子供を手放さないと思いますが……。
いえ、やめておきましょう。
これも嫁ぐ妹に心配をさせまいとする姉の気遣いなのかもしれません。
「結婚式が楽しみね」
「はい」
私は姉の言葉に頷くことしかできませんでした。
どう考えても私の結婚式はセルジューク辺境伯領で執り行われることになると思うのですが、来る気ですか?
……え?
王妃陛下が?
それとも両陛下で?
いえ、深く追及するのはやめましょう。
「お姉様、お元気で」
「貴女もね」
私は姉と抱擁を交わしました。
暫く会うことはないと思うと寂しいですね。
「ベアトリクス、幸せにおなりなさい」
「……っ……はい!」
お姉様、私……幸せになります。
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