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9.双子の婚約者(ベアトリクスside)
幼くして結ばれた婚約者は、レーゲンブルク公爵家の双子達。
なんで婚約者が二人なの? と、疑問に思うかもしれないが、この双子達のヤンチャぶりのせいでもある。
双子の祖母が王族。庶子とはいえ王の娘。
そういう背景もあり、双子はお見合いという名の茶会パーティーを頻繁に開いていた。要は品定めだ。
悲惨な結果だったらしい。
おめかしして着飾った少女達に、「その面で僕達の横に立とうっての?」「このブスと結婚?鏡見て出直してきなよ」と言いたい放題。
これが普通の男の子が言ったらなまだしも、相手は、とびっきりの美少年。天使のような愛らしい容貌から飛び出してくる言葉の暴力に一桁代の少女が耐えられるはずもなく。
その場で泣き出すか、もしくは逃げ出すか。
そのどちらかだった。
心をぽっきりと折られた少女達に同情する。
当然というべきか、婚約者は決まらず。
最終的に私が二人の婚約者に収まる形で落ち着いた。
仮婚約でいいから、という王家からの要請。
一応、双子の弟が本命だ。
双子のどちらかと結婚してくれればいい――――という考えが透けて見えます。
公爵家もどちらが当主になっても変わらないという感じでした。
複雑な家庭ですからね。それも致し方ないのでしょう。
押し付けられた婚約者ですが、見てくれだけは一級品。
観賞用と思えば、それなり。
中身はアレですから。
公爵から事あるごとに「婚約者を大切にするように」と言われたせいか、反抗期に突入したせいか、はたまた別の理由か。
ともかく双子の私に対する扱いは酷いものだった。
私も「はい、そうですか」と納得できるはずもなく。
やり返しました。ええ、当然でしょう。ただし、双子と違って己の品位を落とさないレベルで。
この婚約の意味を説明された筈なのに。
残念な頭の持ち主達です。
万年反抗期なせいか、何年経っても幼稚なまま。
だから今回のようなことが起こるのだと納得してしまいました。
まったく、あの双子には困ったものです。
双子のご同類が、とあるパーティーでの奇行が原因で問題が表面化。
そのあまりの酷さに王家が動くことになるなど、この時点の私は思ってもみなかった。
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