新説!オオカミ少年

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◆そもそも、少年は最初から嘘なんかついていない◆ 全てはこれに尽きます。 「狼が来たぞー!」という叫びは、決して嘘ではなかったんじゃないか、 と私は思っています。 少年は、自分の能力を最大限に生かして、羊飼いとしての役割を全うしていただけなのではないか? と私は思っています。 ◆少年は類稀なる視力の持ち主だった説◆ 少年は生まれ持った能力として、高過ぎる視力を持っていた。 その為、常人には見えないような遠くにあるものも、当たり前のように見えていた。 それは、少年にとっては当たり前だったけど、 少年以外の人にとっては当たり前ではなかった。 というか、理解できないものだった。 ◆少年には見えてたが、村人には見えなかった◆ 人並外れた視力を持つ少年には、何キロも先にいる狼が見えていた。 だから、村人に「狼が来たぞー!」と見たままの状況を伝えた。 ↓ それを受けて、村人たちは身構える。 ↓ 村人たちの身構えっぷりを察した狼たち、今は不利だと判断して引き上げる。 ↓ 狼は襲ってこなかったという結果だけが残る。 ↓ 少年が嘘つき扱いされる。 ↓ 同じことが何回か繰り返される。 ↓ 少年、今日も何キロも先に居る狼に気付いて「狼が来たぞー!」と叫ぶ。 ↓ 村人たち、「どうせ嘘やろ」と思って身構えない。 ↓ それを好機とみて、狼たち一斉に襲いかかる。 ↓ 村の羊、全滅 (おしまい) これが、私がずっと心に秘めていたオオカミ少年の説です。 少年は人並外れた素晴らしい視力を持っていた。 だから、遠い先で村の様子を窺っている狼たちの存在に気付くことができた。 けれど、それを信用する人間が村人の中には居なかった。 そんな遠い場所なんか見える筈がない、という常識に囚われてる人間しかいなかった。 少年がどんなに自分の持っている情報を伝えたところで、誰も彼の言葉に耳を傾けなかった。 その結果、村の羊は狼の群れに襲われる事態になった。 ……のではないか? と、私は昔からずっとそう思っていました。 ただ、こんな話をするような友人がいな……げふんげふん、 人様とこういう話をする機会が無くて、ずっと心の奥底に秘めていました。 ずっと秘めたまま、墓場まで持っていくつもりでしたが、 ここに来てなぜかこの思いの丈を叫びたくなってしまいました。
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