あと1回で・・・

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当たり前な人間が当たり前でなくなる。私は、初めてそれを知った。  突然、「豚人間病」が流行だした。  人から人へ感染する伝染病。それが「豚人間病」だ。誰が言い出したのかは知らないが、「ブヒッ!」とくしゃみすると、飛沫感染する。  人々は、またマスク生活を余儀なくされた。マスクは他人に移さない為のもの。  政府は、マスクを推奨すると同時に「緊急事態宣言」を発出し、なるべく屋外に出ないように注意を呼びかけた。  新種のウイルスなのである。しかも、日本人だけがかかることが分かって来た。  在日外来人達は、イジメや攻撃を始めた。だが、すぐにそれは物理的攻撃ではなく、ネットイジメに変わっていった。感染るからである。  住処を追われ、彷徨った豚人間達は、山へ逃げていった。  雑草を食べ、生き延びた豚人間は、決して動物や鳥は襲わなかった。 「あと1回」人間として生きたい。そう思いながら。  動物や鳥は、不思議そうに見ていた。  警察や自衛隊は、上からの命令がないので、住民が「退治してくれ」と言っても、動かなかった。  人から人にうつっても、2度うつることはない。  感染病に詳しい獣医達は、ウイルスだから、そういうものだと断じた。  狂犬病のように人に噛みついて伝染する訳ではない。端から見れば、ある日突然の現象だ。  山に逃げた豚人間は、メガソーラーというソーラーパネルに辿り着くと、日光を取り込むガラスに貼り付いた。  どんどん貼り付いて行き、そのガラス全部に取り憑くと、雷が起った。  雷はメガソーラーに落ち、豚人間は丸焦げになり、死んだ。  メガソーラーの機器やケーブルも焼き尽くされた。  あっと言う間に全国のメガソーラー設置の山だけが、豚人間の死骸と、「メガソーラーゴミ」で覆い尽くされた。山火事は、自然鎮火を待つしか無かった。 「バチが当たったんだ。」と、ある高齢者が言った。  ニュースは、この事実を伝えない訳にはいかなかった。 「メガソーラー計画」は、日本中に「タダで手に入る電気」を得る為ではなく、原発に替るエコエネルギーでは無かった。 「お上の決め事」は、出発点があって、終着点がない。  止まらないどころか、修正すらしない。  今まで、隠し通してきた、「役に立たないゴミ」のことは衆知され、処理に追われることになった。  日本人ともあろうものが、優秀な民族が、と外国人に嗤われた。  だが、一部の人間に牛耳られている政治が、某国の「トロイの木馬」に攻撃されたのだ。  豚人間は、いつの間にかいなくなった。誰も感染しなくなった。  だが、言葉を話さず、「ブヒー!」という人間は増えた。  私は、宇宙人が作った実験だと思っている。 「ブヒー!」  ―完―
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