ババアと神

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ババアと神

 私、ルルド・リュミエールの自宅に、妙な生き物が今、寄生していた。 「お帰りー。飯は?」 「指でも、しゃぶってなさいな。もしくは5000ループくらいで、その辺のおじさんの」 「私!神なんでぃすが!その辺のおっさん相手に売春やれとか!正気じゃねえのでぃいす!」  私が、指を弾くと、別空間で加熱調理された、出来合いの料理が、湯気を立てて卓上に並んだ。 「うひょおおおおおおおおおおおおおおおおお?!パッケージの見てくれはともかく、こっちの世界でボンカレーって!ああああ!ボンピラフまで?!」 「まあ、記憶を頼りに合成したのだけれど?」 「こいつは逆に凄えぜ。何せボンピラフは――随分前にこの世から――消えた」  無言で、犬みたいにピラフをかっ込み始めた。 「ホントに?こんなに美味しいのに」  私の好みは、チキンピラフの方だった。  あの、筋張った、硬いチキンが特に好きだった。  エラルは、ボンカレーまで食い始めた。 「まあいずれ、もう少し魔王が頑張ったら、販売ルートに乗せてもいいけど、ね?」 「こいつは、美味えぜ。マジで。ああところで」  腹一杯になったエラルは、 「これから、楽しい話、しねえか?ぶごう!!」  おっぱいを触られたんで、虚空から現れた、巨大な圧縮空気の拳が、エラルを殴り飛ばした。 「懲りないわねえ?マルハレータ」  エラルを、逆さに吊って言った。 「本名で呼ばないでええええええ!いくら!ササメの愛人同士だからって!」 「改めて聞くけど、細君の、どこがよかったの?」  私は、神に、東京で死んだと思われる、男について聞いた。 「ああ?!私だって!あんなジャップの愛人とかごめんだったんでぃいっす!でも、離婚して、インドネシアからフランス帰ろうかな?と思ったら、声かけられて、何となく」  ああ、1890年代に、既に馬鹿だったのね?この子。  暴力夫に、子供2人とも取り上げられたし。 「まあ、お陰でだいぶ、日本語上手くなったんでぃすよ?」  変な訛り消しなさいな。馬鹿って喧伝してるみたいよ? 「ところで、貴女、エウリアデは、そう、化身のつもり?」 「え?ああ、ニッシシ。セントトーマスで、丁度いいのがいなかったんで」 「貴女、うちの子に随分嫌がらせしてきたのよね?使い魔召喚。パピーナーガ」 「あぎゃあああああああああああああああああああああ!出る出る!内臓出ちゃう!」 「あら、懐かしい。ホントに内臓出ちゃうのか、しばらく観察しましょう」 「たあすけちくりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!はぷん!」  エウリアデから、エラルがにゅるって出てきた。  エウリアデを、簡単に聖都エルドアンに返して、私は、エラル(本性)を見下ろした。 「神って、本体じゃ、大したこと出来ないのよね?さあ、一対一の、話し合い、しない?とりあえず、私の最期について」 「人は、死ぬからこそ、活かし、遺す。簡単に、あんたの最期がいつか、教えらんねえのでぃいっす!幾ら、神が先を見据えていても!」 「私が飼ってる、おじさん300人に、裸に剥かれて放り捨てられるのと、どっちがいいか、1秒で選びなさいな。1」 「言う!言うから!あんたの最期は!」  1秒で前言を翻したエラルが、ズラズラと、私の先を伝えた。  恐らく、神ならば誰もが持つ、超認識。  ああ、 「ああ、そう。それで、今度は、どうやったら、あの子の赤ちゃん妊娠出来るか、興味ない?他の女神だって、例えば、ヘラや、アフロディーテ、こっちの世界の神だって、多分、貴女だってすると思うわよ?」 「情報漏洩パネえええええええええええええ!!でも、聞かせていただきてえでぃいいっす!」」  私達は、同時に、凄い悪い顔をしていたと思うわ。  私と、神の談合は、深夜を越えても続いた。
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