7人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、嫁
俺が、箱から出たところで、賢者モードのアーサーと出くわした。
「えーっと、何て言ったらいいのか」
「正直――言い訳はしません。僕の子供は、いま、150人ほど、ルグノワールで待っています」
出来れば、言い訳はして欲しかったよ。
「いやあの、別にいいんだよ?ただ、普通、何人か殺し合ったり、しないの?」
お前を取り合って。
「え?いえ、僕が愛してる子達ですよ?とても、仲よく暮らしていますけど。ただ、そろそろ、広い敷地に引っ越ししたいとは、思っています」
うん。勝手にしてろ。平原でも海の中でも。
その時、
「アーサー!パパ!」
乳飲み子を抱えた妊婦(!)の生徒が、駆け寄ってきていた。
「ああ。マリアンヌ。どうしたの?」
「次の試合、そろそろ始まるよ?!あ、この方は?」
「並ぶ者がいない、最高の英雄、ジョナサン・エルネストさんだよ」
何か、誇らしげに言うなって。
「あー、すいません!存じ上げなくて!」
「いや、いいんだって。あー、それで、1つ聞いていい?君達が、大変な思いで、お腹の子を育てたり、赤ちゃんを見てるのに、ホイホイその辺の女相手に子供作っちゃう、最低の男、どう思う?」
アーサーが、うげって顔していたが、マリアンヌは、
「え?別に?って思います。アーサーって、最高の魔法使いですし。それに、彼見てると、不思議と、母性本能擽られちゃって」
ああ。さいですか。
「ねえパパ?さっき、トリスタンが、ママって言ったのよ?」
「ああそうかあ!じゃあきっと、次のガウェインだって」
お腹撫でて、ウフフ。的な会話をしながら、消えたクズ野郎を、俺はずっと見ていた。
何で、うちの嫁は、違うんだろう?
何か、凄く納得いかなかった。
最初のコメントを投稿しよう!