そして、嫁

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そして、嫁

 俺が、箱から出たところで、賢者モードのアーサーと出くわした。 「えーっと、何て言ったらいいのか」 「正直――言い訳はしません。僕の子供は、いま、150人ほど、ルグノワールで待っています」  出来れば、言い訳はして欲しかったよ。 「いやあの、別にいいんだよ?ただ、普通、何人か殺し合ったり、しないの?」  お前を取り合って。 「え?いえ、僕が愛してる子達ですよ?とても、仲よく暮らしていますけど。ただ、そろそろ、広い敷地に引っ越ししたいとは、思っています」  うん。勝手にしてろ。平原でも海の中でも。  その時、 「アーサー!パパ!」  乳飲み子を抱えた妊婦(!)の生徒が、駆け寄ってきていた。 「ああ。マリアンヌ。どうしたの?」 「次の試合、そろそろ始まるよ?!あ、この方は?」 「並ぶ者がいない、最高の英雄、ジョナサン・エルネストさんだよ」  何か、誇らしげに言うなって。 「あー、すいません!存じ上げなくて!」 「いや、いいんだって。あー、それで、1つ聞いていい?君達が、大変な思いで、お腹の子を育てたり、赤ちゃんを見てるのに、ホイホイその辺の女相手に子供作っちゃう、最低の男、どう思う?」  アーサーが、うげって顔していたが、マリアンヌは、 「え?別に?って思います。アーサーって、最高の魔法使いですし。それに、彼見てると、不思議と、母性本能擽られちゃって」  ああ。さいですか。 「ねえパパ?さっき、トリスタンが、ママって言ったのよ?」 「ああそうかあ!じゃあきっと、次のガウェインだって」  お腹撫でて、ウフフ。的な会話をしながら、消えたクズ野郎を、俺はずっと見ていた。  何で、うちの嫁は、違うんだろう?  何か、凄く納得いかなかった。
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