今日も嫌 どっか行って

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今日も嫌 どっか行って

 何このイライラは。俺は、物凄い乱暴に9ミリを乱射していた。 「相変わらずの速さではあるが、少々雑ではないか?」  自主練広場で、付き合ってくれた魔王が言った。 「ああ悪い。昨日一睡も出来なかったし。お袋さんがずっしり重いし。悪い魔王。もっかい闇王になってみない?」  闇王って、魔王が女体化した場合の名称だった。 「冗談にしては、タチが悪すぎるぞ貴様!」  魔王はちょうど、ブリュンヒルデの漫画を読んだばっかりだった。  「闇王ラブプレっ()♡」とかいうTS漫画だった。闇王が勇者と魚屋に孕まされる漫画だった。  3秒で焼き払ったのだが。 「冗談ごとじゃねえんだって!フラさん触っただけで怒るしよ?!どうしよう?!もうすぐ臨月だってえのに!」 「そうはいうがな?臨月になれば当然だと思うのだが。臨月の嫁とよく、と考えるものだな貴様は?膨らんだ腹に顔当てて、平和に寝ていればよかったのにな?」 「そりゃあ、考えたよ?でも、ワンちゃんの気持ちを考えてやって欲しいんだが」  駄目だこいつは。この未開人は。魔王は残念に思った。  300年前、俺が魔王として君臨したあとで、どうにも女性の扱いが雑だな、と思い統計取らせてみたら、なんと妊婦の切迫流産の発生率が、やたらと高かったのだ。  それで、流産した妊婦、男と両方にヒアリングを行ったら、「ええ?別に普通に行為しただけですが」とか言うんで、これは不味いと思い、丸暗記していた発生学等の知識を元に書き上げたのが、「初産あれやこれや」という本だったのだが。  この馬鹿、俺が丁寧に妊婦を大事にしろってこれでもかと書いたのにも関わらず、どうすればボテ腹女をいただけるか、そんな風に曲解していたのだ。  300年前だったら、勅命違反で即処刑だぞ貴様。  まあ、著者名アライダーファーストエビルって、本名もじったペンネームで出したけども。 「しかしだな勇者。もし、無事に貴様達の子供――娘か?が生まれたとして、それからどうする?育休明けに職場復帰、第2児の妊娠と、それ等を丸く収める方策などはないのだぞ?仮に貴様、例のドリルか、銀髪王女でも孕ませるのか?そのレベルの財力が必要なのだぞ?」 「うあああ」  言われてみて、改めて思ったよ。  こんな優しい魔王、他に絶対いねえな。 「ごめんな?魔王。欲求不満でつい。お前、校長のババアと一緒で神の階(かみのきざはし)登りかけてんだよな?だから、仮にお前と不倫したって、絶対妊娠したりしないから、魔王ならいいって思っちまったんだ。マジで、ごめんな?」  真摯に頭を下げられたのだが、脳裏では、こいつ物凄い苦しい死に方を晒せ今すぐに。と思っていた。 「そして、同時に誓うよ。俺は、あのおっぱいと太腿、そしてニャンニャンちゃんを、決して諦めたりしない。俺は今晩、あの神々の住まう伝説の渓谷に、必ず顔を突っ込んでみせる」 「どこまで変態か。貴様は」 「うるせえ童貞!バーカバーカ!」  ローブを広げてやにわに腕を広げ、俺は反射的にビクってなっていた。  この変態が。うちにも昔、  カズマ坊ちゃま♡トキのおっぱいを召し上がりられませ♡  ババアのおっぱいなんぞ要るかあああああああああああああああ!  トキといい、異母兄(にい)ちゃんといい、あっちには変態しかいないのか?!  嫌な昔の記憶を、思い出した魔王だった。  その晩。 「ひ、開いてえええええええええええええええええええ!!魔王お前まで何だああああああああああ?!お前の障壁なんか、破れるかあああああああああああああああああああ!!」 「これでよいのか?」 「ありがとう。闇王。貴女、最高の女友達かも」 「ふざけるな。だが、これで安眠出来よう。胎動の方はどうだ?」  凄く嬉しい。闇王、私の体を、本気で気遣ってくれるもの。 「元気すぎるくらいよ?嬉しいけど、ちょっと眠れなくて」 「セックス行為を前提とした、男の考え方では、永遠に女性性を理解出来ん。成立したから、何だというのだ?臨月前にセックスするなど、AVの見すぎだ。馬鹿め」 「AVって?」 「うむ?まあ、異世界にある、卑猥な映像コンテンツだ。演劇の延長と考えればよい。妊婦ものは、その中でも特に卑猥だ」 「うん。うちの人って、ホントに最低。ねえ魔王?女の子なら、一緒に寝ない?」  ああ理解した!貴様も結構な変態だ!  やっぱり、魔王は凄く残念に思った。
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