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『うめぼうしナイト』 1
久しぶりの新作が『うめぼうしナイト』だって?
と、もと、ショウガナイトは絶句した。
しかし、そこは、作者には従うしかない身の上である。
『なんだか、ほんとに、はらがたつよなあ。』
うめぼうしナイトは、つぶやいた。
『可能ならば、ここから、でかいはさみで、東京までの、すべての巨大ビルの半分から上をちょんぎって、お金に替えて、困っている作者みたいな貧乏なひとに、わけてあげたいよな。』
そんな過激なこと、できるわけないが、昨今の状況をかんがみるに、作者がトイレの壁を無意味に、ひたすら、涙ながらに叩いているのも解らなくはない。と、うめぼうしナイトは思うのである。
ま、そう、思ってくださるだけでありがたいことなのであるが。
『あれは、もう、ながくは、持たないな。』
うめぼうしナイトは、医師である。
その一言は、たいへんに重みがある。
さて、で、うめぼうしナイトは、今夜も見回りを兼ねた散歩に、出たのであった。
最近、夜中に、お酒を飲んで帰るサラリマンが、美女に誘われて、公園で躍りを踊らされるが、気がつくと朝だった、という事件が相次いでいたのである。
すると、二丁目のかどの公園に佇む、怪しい影を認めた。
それは、うら若き女性であった。
『どうしましたか?』
女性は、うめぼうしナイトの姿を見上げて、ぎょっ、としたようである。
真っ赤なマントに包まれた、その短い身体のうえには、でっかい梅干しのような頭が乗っかり、さらに、まさしく、小さな梅干しのような飾りが付いている。
『おわ! 化物だあ〰️〰️✨』
と、女性はうめいた。
『ご心配なく、わらしは、この町の安全を見守る、怪人うめぼうしナイトです。医師の資格を持ちます。あなた、どうしましたか。』
『いし? あ、あの、じびょうの、しゃくが。………』
『おう、そうれは、いかん。すぐに、救急車を呼びますが、ビタミンE不足かもしれない。
まずは、これをお飲みなさい。万能の薬品れす。さあ。どうぞ。さあ、さあ。うめぼうしぃ!』
『ひ、ひぇ〰️〰️、お、おゆるしを。われは、うらうらやまのきつね。あまりにさみしくて、ひとを襲って踊らせておりました。もうしません。』
『いやいや、寂しいならば、たまに相手をしてやるから、悪さはしないでください。バドミントンとか、いかが?』
それいらい、深夜の公園で、美女とうめぼし怪人が、バドミントンをしている。という、噂がたったのであるが、事件性はないようだった。
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