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馴染みの焼き鳥屋さんでのバイトが始まってすぐに、スニーカーを新調した。基本は17時から21時までの4時間、賑わう店内で右往左往するのが私の役目だ。
8月も半ばに差しかかった今では、スポーティーな靴が似合うくらいには動けるようになった……つもり。
店主の軽快な『いらっしゃい!』が聞こえると、テーブルの片付けを中断して入り口へ駆ける。
「あれ、芙由ちゃんだよね? 久しぶりだね!」
重い引き戸を最小限に開けて入って来たのは、晴士さん。と、一糸先生だった。
「いらっしゃいませ。テーブル席がよろしいですか?」
「カウンターでいいよー」
そうですか、と2名のお客様をカウンター席へ通し、そそくさと距離を取る。
晴士さんには連絡をしていない後ろめたさが、一糸先生には文化祭の準備に参加していない負い目がある。避けられるものなら、できる限り避けていたい。
運良く、今日は平日にもかかわらず、入れ替わり立ち替わりでお客さんが入っていた。カウンター越しの焼き場には店主がいるので、私が接客することはほぼない。
ようやく客足が落ち着いたタイミングで、店内の時計を見る。
――――あと10分。
「すみません」
賑やかな店内を分け入って背後から聞こえた声に、テーブルを拭く手が止まった。
店主も、もう一人のバイトのお姉さんも、いまはレジ横で常連客を見送っている。
「はい、ご注文ですか」
平常心。この人はただのお客さん。そう言い聞かせながら、いち店員として一糸先生の隣に立った。
「お前さ、文化祭の準備に2週間以上も顔出さないってどういうこと?」
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