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「死体の処理は他人任せには出来ないな。猿田と屋久と久藤と三川にやらせてもいいんだが、やはり確実を期したい。だから僕とおまえとアスカの三人で山へ行く。安心しろ。僕もきちんと穴を掘るから。おまえらだけに穴を掘らせたりなんかしないさ。最近は忙しくてジムにも行けてないから、久しぶりに良い運動になりそうだ」 若原敦士は笑っている。本来なら俺も若原敦士に同調して腹を抱えて笑うべき場面なのかも知れないが、どうやっても笑う気分になどなれない。 いや、笑う気分どころか、たまらず吐き気が込み上げる。 佐々木愛奈は顔面を潰された上に、山中に埋められる。棺にすら入らないのだ。 佐々木愛奈はまだ独身だろうか。同窓会での佐々木愛奈のあの風貌をみた印象では独身という雰囲気ではなかった。ならば家に帰れば亭主がいるのだろう。小学生や中学生の子供がいてもおかしくはない。亭主にも子供にも罪はない。復讐のためとは言え、何の罪もない亭主と子供から佐々木愛奈を奪う権利が果たして若原敦士にあるのか。 吐き気が止まらない。 いや、考えるな。佐々木愛奈の私生活などどうでもいい。佐々木愛奈の家庭の事情など俺は知らん。知りたくもない。
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