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本棚に追加 しがない派遣社員である小夜だが、その派遣先は、世界的エンタメレーベル『オリエント』の日本支社『オリエント・ミュージックジャパン』という名の大手音楽事務所である。
そこで小夜は受付事務として、電話や来客の対応、社内用の資料作成などの業務を担っている。とはいえ──つまり、慣れると誰にでも出来る単純な仕事だ。
秘書のようにスケジュール管理に頭を悩ませることはないし、広報のように多忙なアーティストに振り回されることもない。
勤務は平日9時から6時。早出や残業はほぼなし。完全週休2日制の上に、祝日にお盆、年末年始も休み。人間関係も今のところ良好で、上司や先輩からのセクハラやパワハラも特に感じない。
小夜が今まで勤めた派遣先の中で、間違いなく最もホワイトな会社といえるだろう。
「やっぱり社長の手腕かな……優秀な秘書さんも付いてるみたいだし」
「あ、そういえば、社長ってセレナーデの常連らしいですよ」
思わず声に出して呟いた小夜に、“社長”という単語で思い出したらしい安坂が、コソッと耳打ちした。
「えっ、あのルーナホテルの……!?」
思わず声を弾ませて安坂の顔を凝視する。頷いた彼女は、「ふっふっふ〜」と悪役令嬢のように口元に手の甲を当てた。

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