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コンタクト
地球では状況に対応するため、政治的立場や宗教の垣根を越え、あらゆる国々が団結した。超国家会議体が成立するまで半日もかからなかった。人類よりはるかに進んだ未知で強大な文明を目の当たりにすることで、それまで僕たちが気にしていた「相違」の数々はとても矮小だった、と気づかされたせいだ。
「侵略だ。もしくは地球を植民地化するつもりではないか」
「人類を奴隷にするつもりかも知れん」
極東の島国から、「地球防衛軍を設立しよう」という提案が出たものの、検討に値しないとして一蹴された。悲しいことに誰の目にも、我々の文明が彼らと比べ数世紀ほど遅れていることは明白だったからだ。
僕は祈った。見えない月に向かって、多くの人が祈りを捧げた。
「友好的来訪であってくれ」
人類は大船団の目的を知りたかった。知らねばならなかった。彼らとなんとか接触を図ろうと、電波や光線、光の明滅、地上絵、手旗信号、思念波などなど、あらゆる手段が実行された。
「どれかひとつでいい、頼む、通じてくれ」
すべての試みは無視された。打つ手を無くした人類は、ただ相手の出方を待つしかなかった。
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