夜の足音 2

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こんばんわ、また会いましたね… 今宵の一人の夜を楽しもう…… 私が嫌うこの賑やかな夜に一人訪れてる。 寝静まらね街。 犯罪を取り締まる警察のパトカーと急患を運ぶ救急車のサイレンの音が響き渡る。 そして自然にはない濁った臭い。 私は、そう思う度に胸が気持ち悪くなる。 だから、自分の部屋から持ってきた花の線香とそれを点けるためのマッチを持って部屋の狭くはないけど少し広めのベランダに行く。 それでここに住んだ時に設置しておいた小さい椅子に座る。 それから、事前に置いておいた台座に今回の線香を挿して。 そして思わず見えもしない夜空を見てしまうんだ。 それでいつも口にするんだ。 「昔はよく星が見えていたのに…」と。 時代はいつだって変わる。 夜空だけは何も変わらない。星という恒星達は動いてるけど星自体は変わらない。 そんな風に思ってると不意にどこかの家の方から音を最大にしたラジオが聴こえてきた。 『今夜は流星群です!』 流星群、丘の上で見たときはとても綺麗で圧巻だった。 もう一度見たいとさえ思った。
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