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僕は両親へと相談した。
学校を卒業したらコイガネ国へと旅をしたいと。
「メイに会いたいんだ。砂漠を旅する二十年になる。
危険な生物は出現しない、ただ歩き続けるだけの旅......。
だけど、二十年は長い。
これほどの時間、父さんと母さんと会えないのは寂しい思いをさせる。
それはとても申し訳ない......。でも僕は行きたいんだ」
途方もない頼みだった。
けれど両親は美しく微笑してくれた。
「トオルに目標ができて嬉しいよ」
父が言ってくれた。
「永遠に、わたしたちの子よ。二十年経っても変わらないわ」
母が言ってくれた。
タッカーも「次に会うときは結婚式だな」なんて、言ってくれた。
僕は泣きながら『ありがとう』と『ごめんなさい』を、繰り返した。
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