きざはし

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どうにか立ち上がり、歩を進める。 目の前にあるようでいて、街への入り口までは遠かった。 再びの疲労と、入国の緊張で、今度は手が震えた。 『紹介状、確認、遺伝子調査、完了、ようこそコイガネ国へ。 空気正常値を保つ為、扉は開きません。 転送地の上に立ってください』 音声案内に従って、黄色い枠の円の上に立った。 瞬時にして世界の色が変わった。 天井が青く、人々の着る服は淡色で、心地好い風になびいている。 砂漠ではずっと空が真っ白だった。 そして風が強かった。 暑いとしいうより蒸し暑さがあった。 あまりの違いに身体と気持ちが追い付かず、めまいがしてふらついた。
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