きざはし

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目が覚めるとフカフカの、やわらかいベッドの上だった。 「やっと起きた。トオル、変わってないのね」 メイがベッドの端に座っていた。 「メイは美女になったね。美少女から美女に」 ウェーブのかかったロングヘアーを揺らしながら、メイが笑った。 「ここは仮の住まい。もちろん、この家に住めるけど、 トオル、ここに住む気は無いよね?」 「うん、いますぐにでもタカル王国へ帰りたい」 金と銀に飾られた豪華な部屋だったけれど、そこに居たいとは 思えなかった。 「そうよ。コイガネ国内の技術では転移して瞬時に戻れる。 トオル、あたし、精霊の姿には不満があるのよ。 いずれ、ずっと先でいいからタカル王国で転生したい、だって......」 メイであるムロが僕に向かってきた。 そして僕をすり抜けて飛んでいった。 「頭を撫でてもらえない!背中もトントンされない!」 「そういうことかあ」
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