きざはし

20/24
前へ
/24ページ
次へ
僕たちは無事にタカル王国へと帰還した。 そして少し年老いた両親と対面して、メイを紹介した。 両親とメイは仲良しになり、三人で暮らす日々が十数年間続いて 僕もタッカーも環境や進路が変わったけれど、交流は途絶えずに 平穏に暮らすことができた。 それでも......両親の寿命の尽きる日がきてしまった。 「来てくれたのがトオルで本当に嬉しかったよ。メイさんもありがとう」 「トオルを育てられて幸せだったのよ。メイさんとも幸せにね」 ダブルベッドで寄り添って眠る両親。 二人の最期の言葉は、愛に満ちていた。 お父さん、お母さん。 僕は、あなたたちの愛のおかげで、メイに会えました。 あのとき。 二十年もの旅を許してくれたこと。 旅の為に二十年間ぶんの人工食を用意してくれた、母さん。 伸縮自在のリュックと紙幣を渡してくれた、父さん。 僕は、本気の愛を貫いてメイに再会できました。 ありがとう。 本当に、ありがとう。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加