きざはし

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「よし、設定できた。五匹、生まれて、二匹は死産する。 その二匹の魂へと転生できます。 安心してください、五匹とも同じ家で親犬と暮らせます」 転生管理所で職員が告げてくれた。 僕たちは、タッカーの家の犬に転生することになったのだ。 僕とメイは転生装置のカプセルへと横たわった。 「次は、どんな名前だろう」 「あたしは、新しい名前が欲しい。 あのね『きざはし』って、つけてもらう」 「きざはし?」 「そうよ。階段の『階』の字を『きざはし』って読むのよ。 段階が上がる意味を持ってるの。 あたしは、自分の人生を、より最高なものにする。そういう意志」 「そこまで考えてたのか......」 「トオルは『こぞ』は、どう?」 「どういう意味?」 「残らず、みんな『こぞって』って、こと」 「それいいね。なにもかも今回で終結させよう」 「うん、決まり!」 転生した犬は遺伝子が受け継げられて、僕らだと判明するそうだ。 タッカーが、その名前をつけてくれるように頼んでみると言ってくれた。 「タッカー、これからも友達でいてほしい」 「もちろんだよ!感動的な二人の絆ごと永遠だ!」 僕たちはタッカーの笑顔に安堵して、カプセルの中で眠った。
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