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「音声だけは入手してくれたんだ」
僕は両親にメイの声を聞かせた。
『トオル、トオル、どこにいるの?会いたい、会いたい!』
コイガネ国は閉ざされた国でもある。
国民の思想にブレが無いようにと、他の国との交流はほとんど無い。
精霊たちの魔力で物質の補給は半永久的になくならない。
これはタカル王国の国王の人徳で、ようやく得られた音声だった。
『ううん、会ってみせる。信じるんじゃなくて、呼び寄せるのよ!』
メイの力強い声が響いた。
「メイ、メイが言っていた言葉だ!」
僕は椅子から立ち上がり、身を乗り出した。
『必ず再会しようね、約束だよ!』
「メイ......そうだ、そう約束した、したんだ!」
どんな姿になっていても、メイはメイだ。
それは僕も同じなのだ。
僕は、コイガネ国に向かう決意を固めていた。
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