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【 桔花の気持ち 】
【 桔花の気持ち 】
〜東京・城田家〜
〝ピンポーン・ピンポーン〟
「はいはいどなた? ……え、きっちゃん?」
早苗はモニターに映る桔花を見つけて、急いで玄関へ走った。
〝ガチャッ〟
「ママぁ〜 疲れたよー」
荷物を玄関に投げ捨て早苗に胸に倒れ込んだ。
「どうしたの、まだ帰ってくる予定じゃないわよね。ひ、一人なの? 安住さんは?」
オロオロする早苗に桔花が言った。
「後で話す。とにかく寝かして」
そう言って、城田家の自分の部屋に入ってしまった。
〝ドサッ〟とベッドに体を投げ出した。
「あー、マジでやばいこの疲労。久々熱出るかも……」
桔花は自分の布団に包まった。
「買い物行くにも心配されてるのに、海外から一人で飛行機なんて我ながらイカれてる」
そう言いながら一層布団に包まった。
「あー、僕の布団の匂い……」
そう呟くと、気を失うように眠りに着いた。
誰に連絡をすればいいのか早苗がウロウロしていと、電話が鳴った。
相手は安住だった。
「早苗さん、桔花は……」
「たった今帰ってきましたけど、どうなってるんですか?」
「あー、家に戻ったんならよかった……あの私はすぐには帰れないので、桔花の事お願いします」
〝ガチャッ〟
「え、あのっ お願いしますって……」
早苗が言い終わらないうちに電話は切れてしまった。
* * *
早苗が将輝に連絡をすると、すぐに光輝が帰ってきた。
「何? どうなってんの?」
ネクタイを緩めながらバタバタとリビングに流れ込む。
「わからないのよ」
「それできっちゃんは? まだ寝てんの?」
「うん、もう四時間くらい寝てるわ」
「安住はどうしたんだよ」
「自分はすぐに帰れないから桔花をお願いしますって電話があったわ」
〝トン トン トン〟桔花が階段を降りてきた。
「きっちゃん!」
「光ちゃん、おかえり」
桔花はケロッとした顔で光輝に話しかける。
「お帰りじゃないよ、どうしたの帰り三日後だったはずでしょ!」
「うん、帰ってきちゃった。ママ僕お腹すいたよ」
「あ、はいはい。軽いものがいい?」
「うん、お茶漬けとかで……」
「きっちゃん!」
光輝は惚けている桔花に詰め寄る。
「光ちゃん、顔怖い」
「いいからちゃんと話せよ」
桔花は早苗が、キッチンに入ったのを確かめると光輝の耳元で小さい声で言った。
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