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「うん、でも僕ウルフに会いたいからお宅に行ってくる」
「じゃあ送っていくよ」
夏子に電話をかける。
「もしもしなっちゃん? うんさっき退院した。それでこれからお宅に伺ってもいい? うん光ちゃんが送ってくれるから大丈夫、じゃあ後でね」
「夏子さんはいつもいるんだな」
「そうだね。たぶんウルフが寂しがるからだと思うよ。小さい頃から犬がいなかった事がないらしいよ」
「へぇそうなんだ。きっちゃんが犬好きだったのも驚きだけどな」
「フフ、僕もそう思う」
* * *
安住家に到着した。
「光ちゃんありがと」
「遅くなるなら母さんに連絡しろよ」
「わかった」
そんな話をしていると家の中でウルフが吠えている。
「あー、あれか」
「フフ、僕の事がわかるらしいんだ。じゃあ行ってきます」
「ウルフー 久しぶりぃ」
〝ウォン ウォン〟
ウルフは桔花に飛びついた。
「あー会いたかったよぉー」
〝ウォン ウォン〟
「なっちゃんもお久しぶり」
「そうね、大変だったわね。桔花今日はゆっくりしていけるの?」
「連絡すれば大丈夫」
「そう、じゃあ夕飯は……っていうか、兄さんは?」
「あ、忘れてた」
「ちょっと、ウルフが先なんてショックで寝込むわよ」
「アハハハ 一刻も早くモフりたかったんだもん」
「じゃあちょっと電話してくるわ」
「お願いします」
夏子は廊下に出て恭平に電話を掛けた。
「そうなのよ、ウルフに完全に負けたわね。うん、ちょっとまって、桔花兄さんが……」
そう言いながら夏子がリビングに入ってくると、桔花はソファのクッションを枕にカーペットの上で眠ってしまっていた。
「あら」
ウルフの首にしがみついて、モフモフしながら眠ってしまったようだ。
ウルフは起きていたが、桔花を起こさないようにジッとしていた。
夏子はまた廊下に戻ると。
「桔花ウルフに抱きついて床で眠っちゃったわ。先輩今日退院したらしいわからきっと今までの疲れたが出たのね。このまま寝かせておくからすぐに帰ってこないでね。夕飯は一緒に食べましょ」
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