【 入り混じる心 】

11/12
前へ
/68ページ
次へ
「うん、でも僕ウルフに会いたいからお宅に行ってくる」 「じゃあ送っていくよ」  夏子に電話をかける。 「もしもしなっちゃん? うんさっき退院した。それでこれからお宅に伺ってもいい? うん光ちゃんが送ってくれるから大丈夫、じゃあ後でね」 「夏子さんはいつもいるんだな」 「そうだね。たぶんウルフが寂しがるからだと思うよ。小さい頃から犬がいなかった事がないらしいよ」 「へぇそうなんだ。きっちゃんが犬好きだったのも驚きだけどな」 「フフ、僕もそう思う」    * * *  安住家に到着した。 「光ちゃんありがと」 「遅くなるなら母さんに連絡しろよ」 「わかった」  そんな話をしていると家の中でウルフが吠えている。 「あー、あれか」 「フフ、僕の事がわかるらしいんだ。じゃあ行ってきます」 「ウルフー 久しぶりぃ」  〝ウォン ウォン〟  ウルフは桔花に飛びついた。 「あー会いたかったよぉー」  〝ウォン ウォン〟 「なっちゃんもお久しぶり」 「そうね、大変だったわね。桔花今日はゆっくりしていけるの?」 「連絡すれば大丈夫」 「そう、じゃあ夕飯は……っていうか、兄さんは?」 「あ、忘れてた」 「ちょっと、ウルフが先なんてショックで寝込むわよ」 「アハハハ 一刻も早くモフりたかったんだもん」 「じゃあちょっと電話してくるわ」 「お願いします」  夏子は廊下に出て恭平に電話を掛けた。 「そうなのよ、ウルフに完全に負けたわね。うん、ちょっとまって、桔花兄さんが……」  そう言いながら夏子がリビングに入ってくると、桔花はソファのクッションを枕にカーペットの上で眠ってしまっていた。 「あら」  ウルフの首にしがみついて、モフモフしながら眠ってしまったようだ。  ウルフは起きていたが、桔花を起こさないようにジッとしていた。  夏子はまた廊下に戻ると。 「桔花ウルフに抱きついて床で眠っちゃったわ。先輩今日退院したらしいわからきっと今までの疲れたが出たのね。このまま寝かせておくからすぐに帰ってこないでね。夕飯は一緒に食べましょ」  
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加