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「お母さん達の家に泊まって翌日ホテルに戻ったのね。そしたら今回のCMに出てる前に付き合っていた人が部屋にいて……恭平さん中で寝てるって言うから帰ってきちゃった」
「どういうことだよ、部屋に引き込むために親の所に泊まりに行かせたのか」
光輝は目を丸くした。
「僕もよくわかんないけど、僕の荷物は廊下に出されてるし、恭平さんとは会えないし、何よりその人すごい剣幕で『恭平と撚りを戻した』って言うんだよ」
桔花は自分を俯瞰して「あの」状況を淡々と話せる自分に驚いていた。
そして「あんまり傷ついてないのかも……」と自己完結した。
「だけど、それで一人でなんて危ないじゃないか! 何で連絡しなかったんだよ」
「ちゃんと飛行機乗れたもん。帰りはすごく揺れて気持ち悪くなったけどね」
「〝もんっ〟じゃないよ。全く何やってんだよ、あーもう絶対別れろよ!」
光輝は頭から湯気が見えるんじゃないかと思うほど怒っている。
「はい出来たわよ」
早苗が桔花に言う。
「ありがとう〜ママ」
「そんな無責任なこと言うんじゃないわよ。安住さんから電話あったわよ」
「え?」
桔花が驚いた。
「自分はすぐ帰れないけど桔花をお願いしますって。お仕事終わったらすぐに帰ってくるわよ」
「仕事どころじゃないだろ、それ浮気現場じゃん」
「ちょっと光ちゃん! ママに聞こえないようにコソッと言ったのに台無しだよ!」
「そんな事言ってる場合か!」
「安住さんが浮気したの?」
「僕逃げてきちゃったから、何だかわからないんだ」
「だいたい前に付き合ってた男を仕事で起用するってどういうつもりだよ」
「それは恭平さんは知らなかったみたいだよ」
「クソっ! ああ、とっとと帰って来て正解だよ。二度と会うなよ!」
夜、荷物を置きに自分の家に戻り、電源を切ったままにしていた携帯の電源を入れた。
「うわっ」
大量のメールと着信、留守電が1件。
桔花は再生ボタンを押した。
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