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「はぁーーー?」
あたしの言葉を聞いて、秀平はとんでもなくデカい声を出す。
「ちょ、大きい!バカ」
「いや、バカはお前だろ」
頭をポンッと叩かれる。
「怒ってる?」
「怒ってねぇよ、別に。ただどんだけ回りくどいんだよとは思ってる」
「しょうがないじゃん。素直になれなかったんだから」
「いや、素直になれないって……途中であたしでしたーって言えよ」
持っていたグラスに入ったお酒を飲み干して「すみません、同じの」って追加する。
「言えるならはじめから他人のフリしてファンレターなんて書いてないよ」
「で?婚姻届はなに?俺が自分の名前書いて返信用封筒で返してきたらどーするつもりだったんだよ」
「あたしの名前書いて返信しようかなって」
「だから、回りくどいっての!そこでお前だって気付かされる俺よ……しかもその時点で俺はお前じゃないやつと結婚するつもりでいるってことだろ」
「……たしかに」
勢い余って婚姻届なんて入れちゃったけど、たしかにそれで結婚するってなっても秀平のなかであたしではなく花さんと結婚すると思ってるってことになってしまう。
なーんも考えてなかったなぁ。
「ばーか」
秀平がその言葉を口にしながらも、満面の笑みを浮かべている。その笑顔はまるで全ての困難や悩みが一瞬で溶けてしまうようなそんな笑顔見えて、そんな秀平が輝いているように見える。
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