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「バカってなによ……」
「ほんとに、お前はどうしてこうなるんだよ」
秀平が楽しそうに言いながら、優しく肩を叩いて「でも、お前が本気で気持ちを伝えたかったんだって、ちゃんとわかったよ」とフッと笑う。
「わ、わかってくれたの?」
「うん。結局お前らしいやり方で、どれだけ回りくどくてもちゃんと俺には伝わった」
秀平の言葉に、少しほっとした気持ちが広がる。
あの手紙や婚姻届も、秀平に気持ちが届くための手段だったと思えるくらい。本当にバカみたいなやり方だけど、あたしにはこれしかなかった。
「でも、これからはもっと簡単に伝えてくれよ。素直にさ」
「素直になってもいいの……?」
「いいに決まってんだろ。返事欲しくないのか?婚姻届の」
「ほ、欲しい……!」
そんなふうに言われて期待してしまうけど、でもたとえ「ごめん」だとしてもいまここで明かしたことには後悔はしていない。
「俺、婚姻届が入ってたときすぐに断らなきゃって思ったよ」
「う、うん……?」
「俺、結婚したい子は小さい頃から自分のなかで決まってて」
「……うん」
秀平の言葉にドキドキして心臓が壊れてしまうんじゃないかと心配になってしまう。
「好きな人がいるからごめんって返事するって言ったろ」
「うん」
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