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「桜希のことが好きだから、ごめんってことだよ。俺は小さい頃から桜希と結婚するって決めてる」
「ひぇ……」
秀平の言葉に驚きと喜びが混ざり合って思わず変な声が出てしまった。秀平が大笑いしながらも、私の反応を見て楽しんでいる。
「なんだよ、それ!でも桜希らしいや」
「秀平のその笑顔を見ると、どんなに回りくどくても頑張りたくなっちゃうなぁー」
「それも含めて、お前らしいな。そういうとこが好きだ」
「……秀平」
「まだ付き合ってもいねぇけどさ、結婚するなら桜希って思って生きてきたから。お前と結婚すんのなんて当たり前すぎんだよ」
秀平が優しく手を握り、微笑んで「改めて言うな。俺と結婚しよう」と言う。
「……はい」
この上ない喜びを噛み締めて初めて素直に返事をする。
「もうファンレターじゃなくて直接言えよ?また送ってきたら花って呼んでやる」
意地悪そうに笑いながら、その子供のような笑顔であたしを見つめる。そんな笑顔が、あたしはずっと大好きだった。
「ちゃんと名前呼ばれたいからあたしの名前でファンレターだす」
「いや、なんでそこはファンレターなんだよ!」
「習慣というか……便箋もまだ残ってるし」
毎回同じ封筒と便箋でかいていたからまだまだストックはされている。
「今度からは、もっとお互いに正直に、素直に話そう」
「うん、そうだね」
「お前の笑顔。それだけでいいんだよ」
「ん?」
「お前の笑顔が俺の最高の応援メッセージ……ってこれなんかくさいセリフ過ぎない?」
秀平が顔を赤らめて照れる姿が、なんとも愛おしくて、思わず笑みがこぼれる。
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