君がこの世にいない未来

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そんな僕らの幸せは呆気なく終わりへと向かうこととなった。 僕の両親の転勤が決まったのだ。 二か月後には今いる神奈川から福井へ引っ込すことになり、帰るめどは今のところないというというあまりにも急で絶望的な話だった。 一人でここに残りたいという僕の希望は両親によってあっさりと却下された。 家族は常に一緒にいるもの、苦楽を過ごす時間を共にするのは当然のことだと父は言い放った。 昔から心身ともに薄弱な母も僕を一人でいさせるのは嫌だと言って聞く耳を持ってくれなかった。 急な転勤に両親も困惑していたのは痛いほどわかってはいたが僕にはどうすることもできなかったのだ。 運命というのは抗うことはできない残酷で痛烈なレールの上を進んで行くのだと友加里との思い出が音を立てて崩れ落ちるような虚無感を突き付けられた。 翌日、帰りのホームで僕は友加里に親の転勤の事、もう今までの二人ではいられなくなることを打ち明けた。 友加里は激しく動揺した。 突き付けられた運命は友加里にとってとても許容しがたい事実であったことは言うまでもなかった。 すぐに帰ってこれるのか?もう一緒に入られる時間は少ししかないのか?今までの時間はどうなってしまうのか? 彼女の抱いていた漠然とした不安に対する微かな希望は悲しいまでに全て叶わないことを伝えた。 昨日の事で心の整理がまだ付いていない僕も自暴自棄になっていた。 友加里は他人だ。家族じゃない。僕らの意思で苦楽を共にすることは叶わない。 僕らは若すぎる。 僕は包み隠さずただただ事実を淡々と述べる心無い人形のように荒んだ胸中を彼女に打ち明けてしまった。 その時の変えようのない行く先を悟った彼女の瞳からは怒りと激情の光は消え、抗いを失った虚ろな眼へと色を失い、僕を映すことを諦めた。 この後の行く先を突き付けられた僕らはお互いの帰路に向かう列車を言葉もなく待ちつづけた。 これ以上悲しむ友加里を見たくない。 皮肉なことに僕の願いは彼女を家に送り届ける前に叶えられた。 汽笛の轟音とともに友加里は列車に身を投げ、彼女は永遠に僕の前から姿を消した。
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