剣聖伝説 - 剣の誓い -(外伝2)

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 強い踏み込みで、足が地面にめり込んだ。  繰り出された突きが、相手の喉元を正確に捉えた。  その一撃の重さは、相手のからだを後方に吹き飛ばし、地面に叩きつける。  大地に伸びたからだが痙攣している。  慌てて救護班が駆けつけた。  シシンは仕合会場の真ん中に戻ると、担架で運ばれていく仕合相手を見送った。 「勝者、四神流剣術、シシン!」  勝者が発表されると会場に割れんばかりの歓声が沸き起こった。  しかし、シシンは歓声に応えるような素振りも見せず、一礼だけすると淡々と会場から去った。 「シシン、優勝おめでとう。これで、お前の剣術も羅秦国一を堂々と名乗れるな」  控室に戻ると、この大会中に親しくなった剣士がシシンに声を掛けてきた。 「堂々と名乗れるだって! ケッ! 全然、面白くねぇ!」 「だって、優勝だぜ。地方の仕合を含めると百万人を超える剣術家の頂点じゃないか。いったい何が不満なんだ?」 「お前は、これが本当に頂点だと持ってるのか?」 「違うのか?」 「この大会にまったく出場していない流派があるだろう」 「ああ、御光流(みひかりりゅう)のことか」  剣士が言うと、シシンが頷いた。 「言うな。あれは、別格というか特別だ」 「全国に名が通っているのに、仕合に出てこない。卑怯じゃないか?」 「なんだ、御光流と仕合をしたいのか?」 「おうよ。あいつらと白黒を付けないうちは、俺の編み出した剣術が最強だという証明にならねぇ。違うか?」  今度は、しぶしぶ剣士の方が頷いた。 「ま、そりゃそうだけどよ、やめといたほうがいいよ」
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