剣聖伝説 - 剣の誓い -(外伝2)

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 峠までは登り道なので、さすがに途中で何度か休憩し、再び駆け出すことを繰り返した。  何やら怒鳴る声が聞こえたのは、峠を越えて最初の曲がり角だった。続いて女性の悲鳴が聞こえた。  あまりにも想像していたとおりの展開に、シシンは舌打ちをして、さらに足を速めた。  曲がり角の手前で止まり、息を凝らしながら、様子を覗った。  夫婦は跪いて、追い剥ぎを拝んで許しを請うている。  その先には追い剥ぎが三人いた。  一人が夫婦を蹴り倒すと、夫の方に馬乗りになって、(こぶし)を振るい始めた。別の一人は妻の方に伸しかかり、(なぶ)りものにしようとしている。  その様子を、頭目らしき髭面の中年が下卑た笑みを浮かべて眺めている。  シシンは剣を手にすると、相手に気づかれないうちに先手を打つ作戦に出た。  滑るように前に出ると、得意の遠間から剣の突きを繰り出した。  頭目がシシンに気づいたときには、剣が心臓を刺し貫いていた。声を上げる間もなく、頭目は目を剥いて、絶命した。  シシンが剣を引き抜くために頭目を蹴り倒すと、血しぶきが噴き上がった。  その音で、夫婦を襲っていた追い剥ぎの二人が、シシンの存在に気付いた。 「だれでぇ! お前は!」 「お、お頭!」  シシンは、相手が向かって来るより先んじて肉迫した。  片割れの首筋を断ち、からだを旋回させて、残るひとりに斬りつけた。  キィーン!  鋭い金属音が響いた。  追い剥ぎは手に持った剣を抜いて、シシンの斬り込みを弾いたのだ。
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