剣聖伝説 - 剣の誓い -(外伝2)

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 村に戻る道すがら、シシンは夫婦から礼を言われ続け、先の全国剣術大会の優勝者だと判ると、夫の方は「さすが優勝者ともなると格別にお強いですな」などとしきりに感心し、妻の方は流し目をつかい、ときどき肩をぶつけたりしてきた。  夫婦して褒めそやすものだから、シシンも次第にいい気分になり、自分は剣術家として相当に強いのだ、と思い直すようになっていた。  シシンが夫婦を伴って宿屋に戻ったとき、別の旅人が宿帳に記帳を終えたところだった。シシンと同じように腰帯に剣を差しているので、廻国修行中の剣術家だろう。その剣士の背丈はシシンよりも少し高く、筋肉質だった。鼻筋の通った、精悍な顔つきをしている。  宿帳をちらりと見ると、はたして修行人としてこの宿屋に泊まるようだった。  規模の大きな街なら修行人宿と一般的な宿は別にあるのだが、ここのような村程度であれば、修行人宿と一般の宿は同じ事が多かった。  剣士は、シシンに気づくと、軽く会釈をして、そのまま部屋に上がっていった。  シシンの方も同じ宿に泊まった客という程度にしか思わず、主人に夫婦連れの旅人を追い剥ぎから救ったことを報告した。  主人がシシンに礼を述べ、夕食を馳走するという。その夕食では、ほかの宿泊客も呼んで、ちょっとした宴会になった。 「……そしたらな、俺が工夫を凝らした遠間からの突きが、ターンと頭目に決まってな、あっという間に決着が付いた。それに気づいた子分どもが、一斉に飛びかかってきたが、これも返り討ちだ。まぁ、一匹は逃したがな。逃げ足の速いこと早いこと――」  シシンは得意げに語り続けた。
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