剣聖伝説 - 剣の誓い -(外伝2)

2/19
前へ
/19ページ
次へ
「なぜ?」 「んー。何というか、俺たちがやっている剣術とは、本質的に違う気がするんだよな」 「はぁ、それじゃあ、御光流は剣術じゃないのか?」 「いや、剣術なんだけどよ。うーん、上手く表現できないなぁ……」  剣士の声は次第に小さくなっていく。 「ますます興味が出てきた。俺は行くぞ!」 「あー、もう! 勝手にしろ!」  剣士はそう言い捨てるとシシンを置いて去って行った。  ――優勝したというのに、なぜ俺はこんなに空虚なんだ……。  シシンは控室で独りつぶやいた。歓声も祝福の言葉も、彼の心には響かなかった。  シシンは常に「真の強さ」を追い求めて幼少期から過酷な修行を重ね、若くして己の名の韻を踏んだ『四神流(ししんりゅう)流剣術』を編み出した。  その裏には亡き父の影響があった。  父は名もなき剣士であった。  練達の剣士でありながら、無名のまま果てた父の教えが、シシンの心に深く刻まれている。 「待ってろよ、御光流!」  そう叫ぶように言うと、シシンも控室を後にした。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加