剣聖伝説 - 剣の誓い -(外伝2)

4/19
前へ
/19ページ
次へ
 案内の弟子の言葉に頷くと、師範がシシンの元にやってきた。 「仕合をご希望されていると伺いましたが……」 「わたしはシシンと申します。過日の全国剣術大会で優勝いたしました」  シシンは挨拶もそこそこに、いきなり本題に入った。 「はぁ。それはそれは、おめでとうございます」  師範の全国優勝者に対する社交辞令じみた反応に、抑えていた不満が爆発した。 「しかしながら、仕合には、御流儀の出場者が全く見あたらなかった」 「……はい」 「御流儀は国中に多くの門弟を抱えていらっしゃるのは存じておる。剣聖と呼ばれる巧者がいるのも、な。それほどの名門であるにもかかわらず、なぜ、ひとりも全国大会に参加されないのか――」 「それと雌雄を決しないうちは、自分は頂点に立っていると思えない、と、そう言うことですかな?」 「――いかにも」  シシンの返答に、師範は困った顔をした。 「うーん、なんと申し上げてよいものか……。まず、当流儀はご宗家のお許しがない限り、大会のような仕合にでることはございません」 「なぜ?」 「さぁ、ご宗家のお考えまでは判りかねます。わたしたち弟子たるもの、ご宗家が駄目というならば、それに従う以外に選択肢はございません」 「まぁ、俺も流儀を研鑽する者、判らぬこともないが……」 「とはいえ、望まれた仕合を拒むほど、排他的ではございません。仕合の件については引き受けましょう」 「いますぐでも、よいのか?」 「ええ、シシン様がよろしければ」
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加