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「お猿さんなの? 池山君」
野乃の後ろの席の女子の加山は言っていた。
「実はオラウータンなのだ」
「どういうことを言っているの」
「いいじゃないか」
「お猿さん」
加山は言って笑った。
「何言っている」
池山は言った。
「池山君が言ったのだろ」
「それもそうだな」
それからホームルームは終わり放課後になった。
「帰ったらバイトに行かなければならないな」
教室の外に出て並んで廊下を歩きながら、池山は野乃に言った。
ファミリーレストランでの仕事中は忙しくて話せなかった。帰り道を野乃と一緒に歩くことは楽しみであった。
池山は野乃とアルバイトからの帰り道を二人で歩いた。
「私、人間だけど」
野乃は言った。
「何を言うのだ」
「どうしたの?」
野乃は彼女の顔を見つめる池山のことが変だと思っているような気がした。
気のせいだろう、と彼は思った。
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